用語集
建物の調査・劣化診断でよく使われる専門用語を、
カテゴリ別にわかりやすく解説します。
用語集
構造
エクスパンション・ジョイント(EXP.J)
温度変化による構造体の膨張、収縮によるひび割れ防止および振動周期の異なる構造物の接続などに用いる接合方法および接合部分をいう。異種構造の建物では、それぞれの固有振動周期が違うため、地震等の振動に対し変形方向および変形量などが違い、この違いを吸収するような接続方法が必要となる。多くは、金属板等の変形可能な材料が用いられる。
プレキャストコンクリート(PC)
現場ですぐ取り付けや組み立てができるように、あらかじめ工場などで製作されたコンクリート製品・部材の総称。壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の壁板や床板などの建築用の部材のほか、側溝などの道路用製品、橋げたなど多くのものがある。略して「PC」ともいう。
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)
柱・梁などの鉄骨部材の周囲に鉄筋を組んでコンクリートを打設した構造。鉄筋コンクリート構造よりは粘りがあるため、高層建築物の構造体として利用される。略して「SRC」ともいう。
鉄筋コンクリート(RC)
鉄筋とコンクリートを組み合わせ、相互の短所を補いあった構造材料。コンクリートの材質によって普通鉄筋コンクリート、軽量鉄筋コンクリートに区別している。略して「RC」という。
劣化
中性化
コンクリート構造物の躯体に組み込まれている鉄筋は、そのコンクリート形成時に生成された高アルカリ性によって腐食要因から守られている。この高アルカリ性は、セメントの水和反応によって生成した水酸化カルシウムが、空気中の炭酸ガスと反応すると炭酸カルシウム化し、それによってコンクリート中のアルカリ性は表層面から徐々に失われ、中性化していく。中性化したコンクリート中の鉄筋は腐食しやすく、腐食が進行すると鉄筋に断面欠損が生じて引張強度の低下や、コンクリートとの付着力の低下が生じる。
減耗(磨耗)
経年劣化によって擦れ等の劣化原因により部材の光沢が低下している状態。
変退色
経年劣化による紫外線、太陽熱等により色相が変化した状態。また、同様の原因で光沢が低下する状態を光沢低下という。
ピンホール
塗膜、タイル、衛生陶器などの表面に生じた小穴で、欠陥の一つ。例えば、塗装工事で塗装中に水分や空気の混入によって塗膜に生じる小穴は剥離の原因となる。
孔食(電気腐食)
アルミ製品の場合、表面がアルマイト加工されていることから腐食しづらい材料と言われているが、表面にほこりやゴミなどが付着することで微電流が発生し、「電気腐食現象」(孔食)を引き起こす。
汚れ
付着物:からぶきまたは水洗いによって除去されるもの。
軽度の固着物:からぶき、水洗いによって除去されないが、中性洗剤によって除去されるもの。
しみ:汚れが皮膜、塗膜の内部に浸透し、洗浄によっては除去できないもの。
エフロレッセンス(漏水跡)
レンガ目地、タイル目地、コンクリートなどの表面に発生する結晶化した白色の物質。コンクリート中の可溶性成分を溶解した水が内部の空隙を通って表面に移動し、表面の乾燥に伴い析出した物質。または、表面に出てきた可溶性成分が空気中の炭酸ガスと反応して表面に沈着した白色の物質。美観上好ましくない。
漏水
水が存在する環境下において、水が部材断面を透過して染み出るか、あるいは部材内および部材間の間隙部分を通して漏出する現象。ここでいう間隙部分とは、コールドジョイント、ジャンカ、豆板等のほか、部材間の打継目、接合部材等を総称する。
白亜化(チョーキング)
塗装やシーリング材の表面が、劣化によりチョーク状の粉をふいたようになること。
※シーリング材:プレキャストコンクリート板や金属パネルのジョイント部、サッシ廻り、ガラスはめ込み部などの目地や隙間に、水密・気密の目的で充填する材料。
鉄筋露出
コンクリート内部の鉄筋はコンクリートが本来持つアルカリ性によって錆びることを抑制されているが、雨水や炭酸ガスの影響でコンクリート中のアルカリ分が表面から徐々に失われていくことによって錆びやすい環境が作られていき、錆びた鉄筋は体積が膨張し、外側のコンクリートを押し出し、鉄筋が外部に露出する現象。また、かぶり厚さの確保がされていないため、鉄筋露出に至ることもある。
※かぶり厚さ:鉄筋コンクリート(RC)の部位・部材において、鉄筋の表面からこれを覆うコンクリート表面までの最短寸法のこと。
浮き
モルタルやタイルに湿潤や乾燥によって反りが生じ、躯体との間に隙間ができ、限界に達すれば剥落に至ることもある。
剥落
モルタル塗り層の剥離が進行し、塗り層またはタイルの落下に至った状況。また、浮いていたコンクリートが、躯体から剥がれ落ちた状態。鉄筋の露出を伴うものと、伴わないものとがある。
手摺付根欠損
コンクリートに埋め込まれた手摺の鋼製部が錆びて膨張することによって、付根廻りのコンクリートやモルタルを押し出してしまうものと、コンクリート躯体と手摺の挙動率の差によるものがある。
欠損
部分的にモルタル塗り層が欠落していること、または剥落を始めタイル張りの欠け、脱落等をいう。
ひび割れ
コンクリートを打ち込んだ時点では一体であったコンクリート部材に、その後コンクリートの許容応力度以上の応力(主として引張強度以上の応力)が作用して生じる、コンクリートの巨視的、部分的な破壊現象。コンクリートの打継目、コールドジョイント等のコンクリートの不連続部分とは、発生過程の上で区分される。
- 鉄筋に沿うひび割れ:面的にみて配筋の位置と思われる箇所に発生するひび割れ。一般に鉛直または水平の直線状のパターンを呈する。鉄筋は、主筋のほか補助鉄筋を含む。
- 開口部周辺のひび割れ:開口部の隅角部から発生する斜めのひび割れ。
- 網目状のひび割れ:網目状(必ずしもきれいな矩形をしているとは限らない)のひび割れ。また、モルタル塗り面に割れが生じ、その部分で塗り面が不連続となっていること。タイル張りにおいては、目地部分に沿って生ずる間隙と目地やタイル面に関係なく生ずるものとがある。
材料
モルタル
細かい粒材と結合硬化剤とを練り合わせたものをいう。一般には「セメント、砂、水」を練り混ぜたセメントモルタルをいう。モルタルに粗骨材、すなわち砂利または砕石を混ぜたものをコンクリートという。
リシン仕上げ
塗壁材の1つであり、ポルトランドセメントに色砂、着色剤を混ぜたモルタルで上塗りし、十分硬化しないうちに、くし型の板金やワイヤブラシ等で表面を粗面とする仕上げ。
複層塗材
セメント、合成樹脂などの結合材および骨材を主原料とし、主として建築物の外壁に吹付け、ローラー塗り、こて塗りなどによって、3層でかつ厚さ1〜5mm程度の凹凸模様に仕上げる。
エーエルシー(ALC)
「autoclaved light weight concrete」の略。セメントペーストに発泡剤を加えて多孔質化し、オートクレーブ養生を行って製造された軽量気泡コンクリートのこと。この製品は、鉄骨造やRC造の床・屋根・外壁・間仕切りに使用される。
製造・品質についてはJIS A 5418に規定され、シポレックス、イトン、ヘーベル、デュロックスの4銘柄がある。
設備
タールエポキシ塗装鋼管
鋼管の内面にタールエポキシ樹脂塗装が施されている。排水管に使用され、亜鉛メッキ鋼管よりも耐食性がある。
亜鉛メッキ鋼管
鋼管の内外面に亜鉛メッキが施されているが、耐食性に劣り、排水管に使用した場合の耐用年数は20〜25年程度である。
水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管
鋼管内面にポリエチレン粉体を塗膜したもので、ライニング部の厚さは塩化ビニルライニング鋼管よりも薄い。
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
鋼管に塩化ビニールパイプを内装したライニング鋼管が普及し、継手については防錆ライニングやコア入りが用いられ、錆の発生を減らしている。
メーターボックス
電気、水道、ガス等は個別契約によることが多いため、別々に使用量を検針する必要がある。このため、出入口の近くに小さな室を作り、メーター類と竪のパイプ類を収納する。
PS(パイプスペース)
配管用スペースのこと。特に各階を貫通する竪の中空のシャフトでパイプシャフトとも呼ばれる。防火上および作業性のため、パイプ以外の部分はコンクリートスラブとする場合が多い。
通気管
配管等に取り付けた空気の流入・流出管で、屋上等で開放する。管内の圧力を一定に保ち、器具排水トラップの封水の保護と流水の円滑化を目的に取り付ける。
その他
雨仕舞
雨水の浸入を防ぐために施す方法。全体の形状・部材あるいは異なる材種の取り合い、部材の端部などの納まりなどについて「雨仕舞が悪い」などと使われる。
ライフサイクルコスト
建築物の生涯にわたる費用(ライフサイクルコスト)は、「企画設計コスト」「建設コスト」「運用コスト」「処分コスト」の4つに大別される。その大部分を占める運用コストをいかに合理化するかが、ライフサイクルコスト低減のうえでの課題となる。
塗膜、タイル付着力
コンクリートの仕上げ材として用いられる塗膜やタイルは美装性だけではなく、大気中の排気ガスや炭酸ガスなどの浸入を防ぎ、中性化の進行を抑制するコンクリートの保護材としても大きな役割を果たしている。その仕上げ材が長年の紫外線や風雨などにさらされることによって、付着力の低下、浮き、剥落などの劣化現象に至る。
ケレン
解体後の型枠材や床・壁のコンクリート面に付いたモルタルかすなどを落とすこと。
モルタルノロ引き
セメントペーストを刷毛で塗ること。コンクリートの表面仕上げ、あるいは接着性を増すためのモルタル下地に施される。
アスファルトシングル葺き
砂付きルーフィングを屋根葺用としてある大きさに切断したもの。勾配屋根の軒部分から真鍮釘や接着材等で重ね張りをして屋根を構成する。
塗膜防水
ウレタンゴムやアクリルゴムなどの合成ゴム系、酢酸ビニール、エポキシなどの合成樹脂系の塗布材を刷毛などで塗り、凝固後の皮膜を防水層とする防水。重ね塗りで皮膜を厚くしたり、ゴムシートなどを挟んで補強したりする。
アスファルト露出防水
非歩行用の屋根などに用いることが多いが、アスファルトルーフィング類を保護するためのコンクリート打ちやモルタル塗りを行わず、トップコート処理などを施し、防水層がそのままむき出しになる防水工法。
※トップコート:露出防水材最上層に塗って防水層を保護したり、床表面に塗って摩耗や滑りを防ぐ仕上げ材。
コンクリート押え防水
防水層を保護するため、防水層の上に施すコンクリート。軽量コンクリートを使用することが多い。
※軽量コンクリート:骨材として人工軽量骨材を一部または全部に用いるコンクリートで、単位容積質量を小さくしたコンクリート。
打継ぎ部
コンクリートの打ち終わった面に時間を経て続けてコンクリートを打設する場合の接続部のこと。また、中断したコンクリート打設作業を再開すること、およびそれによって生じる接続部分。
ガラリ
建物外壁に取り付けられ、空気を吸い込み、吹き出す開口部分で、雨水が浸入しないように幅の広い羽根状の邪魔板が付いたもの。
塔屋(ペントハウス)
高層の建物などで、エレベーター用の機械室や階段室として屋上から部分的に突出している建物。